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2026-03-17

防災備蓄収納は「①防災②備蓄③収納」ですすむ

10年前から比べると国内の防災への意識は高まっていると感じています。しかし、情報が増える中で誤った認識をされている方が増えているのも事実です。当協会の認定資格講座や各地での講演の講義、個別のご相談を通して、混乱が生じているとを感じています。

モノを持つことが目的になっていませんか?

ここでは「防災・備蓄・収納」のそれぞれの意義をお話いたします。

【防災備蓄収納】は私どもがつくった造語です。

「モノを持っていれば良いのではなく、災害時にすぐに使える状態にしておくこと」と定義しています。これは平常時の収納とは大きく異なる点が特徴で、一般社団法人 防災備蓄収納プランナー協会はいち早く防災備蓄専門の収納の資格発行を開始しました。

「災害時にすぐに使える状態にする」ためには、収納を始める前に備蓄を知る。必要な備蓄を知るために防災を知る。防災とは何かを知る。つまり、「①防災 ②備蓄 ③収納」の順番ですすめていきます。防災備蓄は用意することがゴールではなく、命を守り、生き続けるための手段であり、収納はすぐに使えるための手段です。

① 防災

命を守ることが何よりも大優先です

● 非常用持出し袋が一番ではない

建物の耐震強化は重要ですが、建物の被害が免れない災害もあります。日ごろから命を守る行動の訓練や対策が必要です。

津波、川の氾濫、土砂災害など、災害によってはモノを持ち出す余裕がないかも知れません。「緊急を要する状況であれば、手ぶらでも、とにかく安全な場所に逃げる」ことが何よりも先です。非常用持出し袋を持つことが目的ではなく、命を守ることが大優先ですので、持ち出し袋を取りに戻るような行動はしないでください。

もし避難時に余裕があれば「非常用持出し袋」の中身が避難先と道中で役に立ちます。しかし、あくまでも余裕があれば!です。優先順位を間違えないようにご注意ください。

● 体を守る

地震の防災訓練で『机の下に隠れる』ことがよく言われますが、平常時に何秒で机の下にもぐれますか?頭隠して尻が出ていませんか?硬くなった大人の体では簡単に机の下にもぐれません。まして、震度6強や7ではどこかに掴まることが精一杯で、しゃがむことすら容易ではありません。小さな揺れが発生した時点で『安全なスペース』に直ちに体を移動する習慣を身に着けてください。揺れが収まるまでそこで待機します。いきなり強い揺れが発生した場合は転倒しないように注意しながら体を小さくして、危険なところから少しでも離れ、近くにあるもので頭や体を守ってください。少しでも危険を回避するために家具の転倒防止や落下防止対策も重要です。

● からだで覚える

全ての災害で避難が必要というわけではありません。災害状況や建物の強度によっては、逆に外に出る方が危険な場合もあります。

その判断は難しいですが、地域の防災情報を収集し、注意すべき災害を知り、訓練しておくことが大切です。家庭内防災訓練なら一人でも出来ます。デジタル情報は心強いものですが、命を守るその瞬間はアナログです。自身の体の動きが生死を分けます。「わかっている」と「やっている」は全く違います。常に家族と話し合い、自宅も含め、安全に待機できる場所と経路を確認し、訓練をしながらからだでも覚えていきましょう。防災センターなどで地震や台風を体感されることもおすすめいたします。

●災害とは

内閣府防災情報より

災害対策基本法第二条では、災害を以下のように定義している。「暴風、豪雨、豪雪、洪水、高潮、地震、津波、噴火その他の異常な自然現象又は大規模な火事、若しくは爆発その他その及ぼす被害の程度においてこれらに類する政令で定める原因により生ずる被害をいう。」

 

●防災とは

内閣府では「一般に地震や水害などの自然災害に備えること」

大概が「災害の対策を行い被害を抑制、軽減させること」を意味しています。

② 備蓄

命を守る、生活を続けるための手段です

一般社団法人 防災備蓄収納プランナー協会では「災害が発生した際に身の安全を守るための用品から、ライフラインが止まっても生活や業務ができるように、食料、生活用品、機器なども含め、備えておきたいモノ全て」を防災備蓄と言います。持出し袋も防災備蓄に含まれます。

モノは、命があってこそ使えます。助かった命、自宅の安全確認ができれば自宅で生活を続けていけます。しかし、ライフラインが止まり、買い物もできない状態では生活が止まります。そのような事態に備えておきたいのが防災備蓄です。防災備蓄は建物も人も無事な場合に活用することができます。

その地域の災害や発生の可能性がある被害、建物の強度や設備を知らぬままでは本当に必要なモノがわかりません。防災を理解した上で、家族構成や年齢、持病等も考慮して、命を守り、災害後も生活を続けていくために必要な備蓄を準備しておきます。

この通り、持出し袋だけでは全く足りないことはご理解いただけたことでしょうか。「非常用持出し袋」は避難先で使いたいモノを事前にまとめているセットです。住まいや事業所で備える防災備蓄と避難時に持ちたい持出し袋は目的が異なります。

● 注意するコト

ネットやテレビ、雑誌でも情報が溢れています。「これがいい!」「あったほうがいい!」と聞くとついつい購入していませんか?しかし、本当にそれ、食べますか?好きですか?使えますか?

私が実際に聴いてきたこと

① 乾麺のパスタは保管に良いと聞いて用意した。でも、普段食べないのに貴重なお湯を使ってまで食べるだろうか?

② 人気のようかんを買って栄養補給に安心した。家族全員ようかんが苦手だった・・。

③ 人の救出ができる!と思ってロープを買ったが、知り合いの消防士に、ロープ結べるの?人の救出は素人女性には無理だよ!と言われてハッと気づいた。

④ ペットを飼っていないのに猫の砂が良いと聞いて買ったが、どう使えばよいかわからない。

⑤ 冬を心配して石油ストーブを買ったのに灯油持ち込み禁止のマンションだった・・

⑥ トイレットペーパーは沢山あった方が良いと奨められて(12ロール6パック)何箱も買ったけど邪魔。夫婦2人だけどどれくらいあれば良いのだろう?

これはほんの一部です。似たような経験はありませんか?

日頃の生活から考えて、自身に、わが家に、本当に必要なモノを用意されてください。防災備蓄が溢れて危険なお住まいにならないように注意が必要です。被害の不安も付きませんが、必要な量が明確にわかると少し安心できます。

● 用意するとき

参照:『災害の備えは3段階フェーズで考えてみる

段階ごとにイメージするとわかりやすいです。

③ 収納

災害時にすぐに取り出せるための手段です

【防災備蓄収納】とは、「モノを持っていれば良いのではなく、災害時にすぐに使える状態にしておくこと」と定義しています。

安全と被害を加味して、防災備蓄の準備、収納、維持管理までをトータルした仕組みです。これは平常時の収納とは大きく異なる点が特徴です。

日常使いのモノもそうですが、収納づくりは一番最後です。

ここで言う収納は、①防災を知り、②防災から必要な備蓄と量を把握し、③安全対策を施した収納をづくり、備えたモノが災害時にすぐに取り出せるための手段です。

● 負のスパイラル

下の写真はおすすめできない例です。災害時にすぐに取り出せるための手段とは言えません。

「色々置けそう」と思って購入し、空いていたスペースに置いていた棚です。内容もバラバラですが、大きな揺れではすぐに転倒&落下します。非常に危険です。

このように目的が曖昧なまま収納を購入すると上手に活かせなくなります。

モノも量も把握せずに収納を用意すると、小さくて使えない。ムダに大き過ぎて邪魔になった。などの失敗が生じます。だけど勿体ないからそれらの収納を残す。さらに部屋が狭くなる。どこかのスペースに収まってしまうとまた余計なモノを増やして収納を満タンにしてしまいます。結局、負のスパイラルが続いてしまいます。

● 他人の答えを鵜呑みしない

防災備蓄のそれぞれの置き場所は「他人の答えを鵜呑みしない」ことです。

よく聞くのが「持出し袋は玄関が最適」とのこと。本当にそうでしょうか?

間取り、玄関までの通り、玄関状態、玄関の広さ、家族の人数や年齢などなど、お住まいによって避難経路も非常用持出し袋の置き場所も変わります。非常用持出し袋は『①防災』でお話した通り、可能であれば避難時に持ち出したいセットです。命にも関わることなので、誰かに正解を求めるのではなく、家庭内防災訓練を行いながら、家族と話し合って置き場所を決めてください。

● わかりやすく分類する

食品や生活用品も家族と話し合って置き場所を決めてください。ただし、モノを迷子にさせないために目的を明確にし、お子さまでもわかりやすい分類をしてください。これも確実な正解はありません。防災備蓄収納のプロにアドバイスをもらっても最終的に決めるのはご自身とご家族です。防災備蓄を継続し続けられるために、貴方が管理しやすい分類と収納にすることがおすすめです。

【防災備蓄収納】の本当の意義

 ①防災 ②備蓄 ③収納のそれぞれの手段をトータルした仕組みが【防災備蓄収納】です。命を守り、災害ストレスを軽減させ、生き続けていくことができるようにすることが【防災備蓄収納】の本当の意義です。

● 防災備蓄収納の基本が学べる【防災備蓄収納2級プランナー】講座はこちら

防災備蓄をする意義と順番と【防災備蓄収納】の意義をご理解いただけたでしょうか。

 

どうしてもモノが先、収納が先になりがちですが、そのモノがつくられた理由があり、そのモノを持つ理由があります。防災グッズを購入する際「わが家がコレを持つ意味は何か?」と真剣に向き合いながら選んでください。

その中でも、好き、お気に入りを考えながら防災グッズや食品を選ぶと案外楽しいものです。負担をかけ過ぎず、できることから始めてください。目的が反れてムダなモノを買い過ぎませんようどうぞご注意ください。

 

●2月に、東京都総務局『東京備蓄ナビ』にて「防災備蓄収納」について取材記事が紹介されました。【記事内容はこちら】

 

●また、当協会主催【防災備蓄収納自慢BJ-1グランプリ2025】公式アーカイブにて5名のファイナリスト宅の実際の防災備蓄収納をご覧いただけます。【YouTubeはこちら】

 

どちらも防災備蓄収納のご参考にぜひご覧ください。

 

防災備蓄収納で、家族を守り、社員を守り、命を守り、物資の不足を減らし、避難所の混乱も減少させ、減災につなげていきましょう。

代表 長柴美恵

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