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2024-02-13

災害の備えは3段階フェーズで考えてみる

「備える」と一言で言っても、何を用意して良いのかわからない。また、目的を明確にしないと無駄に用意して、モノが増えて大切なスペースを埋めてしまいがち。さらには、肝心な災害時に何に使うのか混乱してしまうこともあります。【防災備蓄】は使用目的をもって用意することが大切です。その目的をわかりやすくするために、今回は3段階のフェーズでお話しましょう。

①命を守るための備え

発災の瞬間、何よりも命を守る行動が必要です。「防災」の話は発災時の命を守る内容が多いと思います。

●災害の種類、身の守り方、避難の仕方など。

●その中の備えとして、建物の耐震化・家具転倒防止・消火器・救出や周知するための道具など。

 

人は動物的本能で、生きよう!助かりたい!と思い、必然と危険から逃げる行動をとるものです。しかし、何もわからないとパニックになり、余計に危険になることもあります。

そのため、知識を学び、備えることが大切ですが、個々でやることと地域だからできることがあります。

 

[個々でやること]建物の耐震化や住まい内の安全対策。危険を回避できる方法と命を守る行動を考え、それに伴う工事や防災グッズを使用して、平常のうちに対策しておきます。また、安全な場所へ避難する際の「非常持出し袋」も用意しておきます。

 

[近隣地域で力を合わせてできること]救出や助けを求める周知。1995年1月17日に発生した阪神淡路大震災では、救助された方の8割が近隣住民に助けられたそうです。『共助』は大きなチカラがありますね。

 

地域の防災訓練に参加して、お互い顔見知りになっておくことも大切です。また、『家庭内防災訓練』は一人でもできます。いずれにしても、身を守る動きを体で覚えることも大切です。

②生き延びるための備え

危険から身を守り、せっかく助かった命です。これからも生き延びるために絶対に必要な備えがあります。

●飲む・食べる・出す・休むは、誰もが生きるために必要な行動です。

 

[飲む]水はもちろん、好きなジュースも珈琲もOK!気持ちを落ち着かせてくれる大切な飲み物です。

 

[食べる]体力温存のために欠かすことはできません。災害ストレスから食欲を失わないよう、食事も好きなものを用意しておきましょう!自分で用意するのですから、3食の食事だけではなく、甘いものも辛いものも、菓子もフルーツ缶詰もOKです!また、暖かいものが食べられるように「カセットガスコンロ」の用意もおすすめします。

 

[出す]飲む・食べるよりも我慢できないのが排泄です。とくに集合住宅では排水ができなくなります。これは断水の問題ではなく、配管の損傷や詰まりや停電による排水の停止があり、汚物が漏れ出す可能性があるからです。戸建住宅でも使用不可になる場合があります。そのため、トイレの凝固剤は備えておきたい必須アイテムです。

 

[休む]気持ちは落ち着かない状況でも、やはり睡眠は大切です。興奮状態からぐっすり寝むられない状況でも、少しでも休むことは心身ともに重要なことです。とくに避難所では休みにくいので、アイマスクや耳栓もあるといいですね。ただし、緊急情報は聞き漏らさない注意は必要です。

③生活を続けるための備え

災害後の復旧が進まなくても、生活は続きます。先に話した「飲む」「食べる」「出す」「休む」はもちろん継続です。

自宅が被害に遭われた方は避難所で、自宅が無事だった方はご自宅で生活します。しかし、停電や断水、物資不足の可能性は否めず、生活のストレスが溜まり始めます。そのために備えておきたいものがあります。

 

[食事]炭水化物ばかりの食事に嫌気がさしてきます。常温の食事ばかりでは喉が通らなくなります。まだ生鮮食品が手に入らない可能性もありますので、レトルト食品や缶詰の食材が役に立ちます。暖かい具だくさんのスープを飲むだけでも身も心も温まります。コンロの用意が必要です。屋内での火気使用は十分に注意してください。

 

[衛生]口腔衛生を保つためのマスク、歯ブラシ、液体歯磨きなど。身体衛生のための体拭きウエットテッシュ、トイレットペーパー、消毒液など。ちなみに、ベビー用おしりふきは大人の体拭きにも重宝します。頭皮の清潔保持にも使えます。

 

[洗濯]断水や停電になれば困難です。下着を多めに用意することや少量の水で洗える方法を考えておきましょう。また、井戸水が出るお宅や施設が水を提供してくれる場合があります。生活用水の給水についても自治体のホームページ等で確認しておきます。

 

[連絡・情報]大切なご家族や友人との連絡は安心と気持ちの支えになり、とても重要なものです。また、商品入荷・入浴開放・交通事情・復旧状況などを知るために情報収集もしたいところです。

いまの時代、スマホやパソコンが使えないこと自体が不安になると思いますので、スマホ充電器やポータブル電源の用意をおすすめします。

 

[通勤・通学]徐々に登校も出勤もはじまります。交通状況の事前確認は大切です。安全な経路と危険な経路を調べ、二次被害にならないよう注意が必要です。また、食事の提供が困難な場合もありますので、昼食についての確認をしておきます。

ほんの一部ですが、フェーズで考えていくと、備えるモノやコトがイメージしやすくなったでしょうか。【防災備蓄】というと、水と食料だけを想像されがちですが、一般社団法人 防災備蓄収納プランナー協会では、「命を守るための備え」からを【防災備蓄】と言い、防災備蓄の保管方法までを含めて【防災備蓄収納】と言います。

 

【防災備蓄収納2級プランナー】講座では、この3段階のフェーズをもっと具体的にわかりやすく学びます。

 

なお、今回の話は2024年1月26日に、プレジデント社様より発行されたビジネス&経済雑誌『PRESIDENT 2024年2.16号』にて【ひとりでも安心!大地震を生き抜くための防災レッスン】と題した取材記事でも紹介されました。【発行元】

 

令和6年能登半島地震により、今もなお避難生活をされている方が2万人もいるとのことです。被災に遭われた方、被災地の職員の方々、支援に従事される方々、どうかご体調を崩されませんように。1日でも早く心休まる日が来ますことを願うばかりです。

【令和6年能登半島地震】(NHK NEWS)

代表 長柴美恵

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