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2021-10-11

2021年10月7日地震の瞬間、出張帰りのリムジンバスで経験したこと

10月7日22時41分頃、東京・埼玉で10年ぶりの“震度5強”の地震が発生しました。交通機関の一時停止、高速道路通行止め、火災、停電、水道管の破裂、負傷された方もいました。帰宅困難になられた方も多くいらっしゃいました。被害は時間が経ってからわかります。多くの被害が出ませんよう祈るばかりです。被害に遭われた方へお見舞い申し上げます。

 

私は札幌出張の帰りの道中で、あと20分程で家に着く頃でした。

出先中で災害が起きると状況が把握しにくいということがよくわかりました。そのとき、私が感じたこと、経験したことなどから今後の参考になれば幸いです。

●地震の瞬間

私は札幌での講座を終えて帰る途中で、羽田からリムジンバスに乗っていました。「家に着いたらゆっくりお風呂に入って早く寝たい。」と気が緩んでいたところです。
高速道路を降りて見慣れた光景に安心した矢先、高速道路の下の道路で信号待ちの瞬間に乗客たちの緊急地震速報アラームが一斉に鳴り出しました。

脱力中だったので一瞬何が起きるのか把握できません。先ずはすぐに席の窓を全開にして外を見ました。一瞬でしたが、上の高速道路とその支柱と私たちがいる下の道路が歪んでいるように見えました。そのとき私の脳裏には阪神淡路大震災の光景がよぎりました。高速道路が崩れたらバスは潰れる・・と。眼を見開いてよく見ると揺れはおさまったように見えました。 

 
いろいろアプリを入れていますが、私のスマホ設定が悪かったのでしょうか。どれも最新情報が出ず、”いま自分がいるところの状況”がわからないので、どう行動すればよいかもわからず困りました。家族にすぐに連絡して地震であることを聞きましたが、どうなるのかよくわかりません。
バスの運転手から何もアナウンスがありません。電車のように緊急停車も安全確認もありません。私が降りる1つ前のバス停で停まったのに、そのときも何の点検もなく、他の乗客も静かに座っていて、平常通りバスは走っていきます。おそらく、スマホが見られない運転手も状況がわかっていないのではないかと思いました。

●運転手に聞くと

 バスを降りて荷物を受け取るときに運転手に「アナウンスはなかったけどこういう時はどう対応されるのですか?」と聞くと「スマホは見れませんし・・」と困り顔でした。「埼玉は震度5強、5弱でしたよ!」というと驚いていたので、やはり状況はよくわかっていなかったようです。
「高速道路でもっと大きな揺れだったらハンドル取られていましたよ!わからないでは済まないし、運転手さんも不安ですよね?無線などで会社から指示は出ないのですか?」と聞くと、そのようなものは無いとのことでしたが、焦り顔でした。
運転手を責める気はないので会社に問合せてみることを伝えてバスと別れました。
 
そして翌日、バス会社に電話をしました。クレームではなく、利用者として災害時の対応を知りたいだけなので、便も運転手も教えず、災害時の対応を聞いてみました。
①運転手には安全確認をして、乗客に案内することを指導している
②バスにGPSは付いているとのこと
 
しかし、災害時に会社から運転手に指示を出すシステムは無いとのことでした。
マニュアルがあっても、GPSで居場所がわかっても、そのとき運転手がわからない状況ではその瞬間の正しい判断も対応も出来ないのではないでしょうか?と尋ねると「今後検討して参ります」とのことでした。
 
乗用車でも運転中は地震に気付きにくいものです。
運転手という業務上、スマホを見て情報を得るのは難しい、乗客に「地震ですか?」とも聞けないだろうし、状況がわからなければそのまま走行してしまうだろうし、運転手だって不安なはずです。
コロナがやっと少し大人しくなり、GOTOキャンペーンの再開も検討されつつあり、観光業界の景気復活が期待されるところですが、命を預かる立場として運転手と乗客の命を守る対策を早急に構築して欲しいと願います。

●深夜に帰宅困難

10年前の東日本大震災でも電車が停止し、長男が帰宅困難者になりました。夜中に連絡が取れて、2時間で迎えに行けたのは救われた方だったと思います。
 
今回の発災時間22時40分頃。ほとんどの方が退社されている時間でしょう。緊急事態宣言も解除され、飲食店に居た人もいたと思いますが、21時閉店のお店も多いのでちょうど帰宅時間と重なったと思います。
 
会社に戻るにも戻れなかったのでしょうか?それよりも、みんな帰りたいですよね。
しかし、このような事態になっても翌日の仕事を考えて、何が何でも帰って次の日の出勤を考える日本人は凄いなぁと誇らしく思うと同時に、「仕事よりも自分の安全を優先にして!」と思います。夜中に歩いて帰ることは本当に危険です。
 
実は、千歳空港で乗る便が満席だったとのことで次の便に振替え出来る人を呼びかけていました。私は「1時間遅くてもいいんだけど最終のバスが間に合わない。でも最悪電車でも帰れるので、もし誰もいなければ代わりますよ」と言っていたのです。振替えになることはありませんでしたが、もし1時間後の飛行機に乗っていたら電車で帰ったので、帰宅困難になっていたところでした。
 
そこで、もし私が帰宅困難になっていたら?と考えました。
1)家族に連絡する
2)ホテルを探す
3)ファミリーレストランやガソリンスタンドへ行く
 
長男が帰宅困難になったとき、ホテルは取れず、迎えを待つ間ファミリーレストランに入らせてもらっていました。私もどこか入れてもらえるところを見つけるでしょう。歩いて帰ることは考えないと思います。
 
▼参照(東京都ホームページ)
*東京都以外の方は、道府県や市区村町のホームページでご確認ください。
 
2018年の大阪北部地震のとき、朝のラッシュ時間に発生したのに人々が会社や学校へ何が何でも向かうという姿をニュースで見ていて唖然としました。
職場も学校もこういう時は「来なくて良い」と命令を出せないものかと思います。

●帰宅すると

ホッとしたいところでしたが、なんとエレベーターが止まっていました。やむなく荷物を抱えて階段であがりました。なんてこった~です。
小学生の頃「家に着くまでが遠足です!」と言われましたが、まさにそうですね。
 
家に入れたときの安堵感。無意識に大きく深呼吸をしていました。自宅内の被害も一切なく、倒れているものも落下したものも何一つありませんでした。
 
いつも通りの住まいに当たり前に帰宅できることは本当に幸せなことですね。その「当たり前」のありがたさを改めて強く感じました。

●持ち歩きスマートフォン充電器

絶対必需品のスマートフォン。テレフォンカードと家族の連絡先のメモも持っていますが、バッテリーが切れたら間違いなくパニックになるでしょうね。出かける前に電池をチェックしておいたのでとても心強かったです!
 
▼代表コラム参照

札幌を出る前に無性に海鮮丼が食べたくなって(笑)

夕食までは時間が早いけど家までは絶対にお腹がもたないと思ったので小ぶりのどんぶりを食べてきました。千歳空港でデザートのソフトクリーム。コレ、美味しいんですよね!

お腹も心も満足だったので地震の苛立ちも防げたかなと感じています。

 

長距離対策としてお気に入りの煎餅も持っていたし、水もトイレの凝固剤ももちろん持っているのでバスで待機になっても不安はありませんでした。私にとってこの3点がある安心効果は実に大きいんです。

 

外出中の災害はさらに不安です。ストレスが大きくなり、苛立ちから冷静な判断が出来なくなって、かえって危険な状態にしてしまうこともあります。

災害時に大切なことは「パニックにならない」ように心がけて備えることです。貴方が冷静になれるモノや手段は絶対に欠かさず用意してください。

 

無事だったからこそ、私は今回の経験を無駄にせず、これを教訓に出先中の個人対策をもっと強化しようと決めました。『自助(自分の身は自分で助ける)』は本当に大切ですね。

今回の記事が『持ち歩き備蓄』の促進になりましたら幸いです。

そして、少しでも被害が小さくなりますことを願っております。

代表 長柴美恵

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