82歳高齢女性の非常用持出し袋
非常用の持出し袋の中身にお悩み方も多く、セットになった持ち出し袋を購入される方もいます。しかし、年齢や性別、体力によって中身は異なります。高齢者ともなればさらに個々の差が大きくなります。親御様を心配されている方に参考例の1つを紹介いたします。
1)注意すべきこと
●両手が使えるようにバッグはリュックにする
●性別(男性、女性)
●年齢(乳幼児、児童、10代、成人、高齢者)
●体力(1人歩行可能、補助必要、筋力)
誰用なのか?本人が使用出来るモノ、必要なモノが入っているのか?ということを考えて用意することです。しかし、背負うことが苦痛なほど重すぎてはかえって危険です。障害物がある道でも自分で背負って歩ける重さであることが重要です。持ち主の必要なモノの優先順位から入れるモノを厳選していきます。
2)中身の例
●100円ショップで購入
・メモ帳(無地)
・書いてしっかり貼れるシール
・油性ペン
・コンパクトはさみ
●100円ショップで購入
・爪切り(細かいところまでカット出来るようあえてカバーなし)
●まとめ買いして家族で配分
・流せるティッシュ
・除菌ウエットティッシュ
・ボディ用ウエットティッシュ(厚手)
●夏用
・冷却パック
・冷却シート
●冬用(100円ショップで購入)
・非常用アルミブランケット
●まとめ買いして家族で配分
・フェイスタオル×2枚
●まとめ買いして家族で配分
・マスク×10枚(個包装)
●家族の連絡先
・ネームホルダー(安全ピン付)
●本人の好きなモノ
・カンパン(災害食品)
・ようかん(通常食品)
・飴(通常食品)
●本人が背負える重さ分
・500ml×2本(通常食品)
3)ここまでの重さ
3kgちょっとです。苦痛がなく背負うことが出来ていました。
日頃は1人で元気に1kmを歩行をし、買い物荷物が持てる筋力があります。しかし、災害時の想定から、身長142cm、82歳の女性には5kgまでが良いようでした。
4)さらに本人が追加するモノ
●お金(小銭)
●薬と処方箋
●保険証コピー
●メガネ(日頃使用)
●携帯電話(日頃使用)
●歯磨きセット(愛用品と同じモノ)
●紙おむつ(日頃は不要・家にあるモノ)
●合羽(家にあったが使っていなかったモノ)
*ラジオや携帯電話充電器などの情報源に関わるモノも必要ですが、重量が増すことから共有してもらえそうなモノは控え、とにかく無事に避難することを第一優先に考えました。
ただし、携帯電話を毎日充電し、避難する際は必ず持ち出すようにリュックに「携帯電話」と書いたメモを貼りました。
5)リュックに入れるときのポイント
重さのバランスが良いように水は両端に入れる。どちらか一方に寄せないよう注意する。ファスナーの開口が広いため、横からすぐに取り出すことも出来る。
すぐに使いたい笛とライトは取り外しがしやすいキーホルダーにする。メモ類は外ポケットに入れる。メモとペンは袋に入れず直接ポケットに入れても良い。
ネームフォルダーに持ち主の名前と携帯番号番号、家族の名前と連絡先などを記入する。個人情報を守りつつ、万が一の場合は他者にも発見されやすいところに付けておくと良い。この例はポケットの内側に安全ピンで留めている。
使う可能性が高く、かつ軽いモノを優先にファスナーから近い位置に入れる。
重い水や急がない合羽、食糧は下に。先に使いそうなティッシュやトイレ凝固剤は上に入れる。背中に触れる部分が凸凹しないように配慮する。貴重品は下が良い。
親御さんの避難時を考えると色んなことを心配されると思います。しかし、高齢者なりの必要なモノや背負える重さがあります。避難用の持出し袋を準備する中で大切なことは、背負う人に合わせた内容であることです。
リュック1つにしても、防火防水が良いとか、肩ベルトの幅とか、ポケットがもっと欲しいとか、アレよりコッチの商品を入れたいなど欲は出てくるものです。しかし、こだわるほどなかなか準備に至らないものです。
家にあるモノや100円製品でも用意出来ます。何も無いよりはあったほうが良いです。一度用意してみるとわかってくるコトもあります。そこからまた徐々に見直し、こだわりを取り入れていけば良いのです。
ちなみに今回の例は、
リュックは家にあったモノで、合計4,362円(税別)で出来ました。
高齢者でも男性はまた異なることでしょう。お母さま、お父さまと話し合いながら、安全を第一優先に考えて、早速準備をはじめられますようお願いいたします。
代表 長柴美恵