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2018-11-12

「災害食品」だけでは過ごせない

11月19日は東京都が制定した『備蓄の日』です。

各自治体の備蓄数を調べると人口に合わせてその数はわずかです。圧倒的に足りません。「イザという時、どうにかなるでしょ?!」という考えは改め、私たちは自身と家族を守るために各自の『防災備蓄』が必要だということを正しく認識しなければなりません。

「首都直下地震等による東京の被害想定(24年4月東京都防災会議)報告書」によると、約8割の人は自宅での避難生活が想定されています。しかし、防災備蓄をせずに何を食べて過ごすのでしょうか。

災害が多かった今年。災害のあった地域では、店頭からあっという間に商品がなくなることがSNSで流れていましたので、「災害が起きたらすぐに買いに行く!」ということを学ばれたようですが、そうではなく、「なくなるからこそ事前に用意をしておく」ことを理解して欲しいと願います。

 

もう、本当に、「あってよかった!」のために防災備蓄を考え直してみませんか?

今回は災害食の備蓄についてお話ししましょう。

1)必ず試食をする・食べ慣れる

●食品は、(3食+間食)×人数×7日以上の用意が必要です。

調理が出来ない環境の場合、手っ取り早く食事をするためには災害食品は有効です。しかし、実際に食べてみると口に合わないモノもありますので「必ず試食をする」ことを私は言い続けています。

災害食は、アルファ米だけではなく、パンや総菜もあります。今はメーカーも種類も豊富になりましたので楽しみながら試食をして、自身や家族が好む『味』の食品の用意をおすすめします。

●災害食品は試食を重ねることで食べ慣れていきます。

例えば、カップラーメンはラーメン屋のラーメンとは異なりますが、食べ慣れたことで「カップラーメンの中で好きなラーメン」があると思います。このように、災害食品も食べ慣れると、炊飯器で炊いたご飯とは異なりますが、「災害食品の中で好きな食品」がみつかります。

災害後は、興奮状態だったり、ショックや不安などのストレスから食欲が落ちます。食べなければ体力も気力も落ちます。栄養ももちろん大切なことですが、「食べること」を優先に考えて「好きな味」「食べられる食品」を用意されてください。

しかし、災害食品だけで3食1週間過ごすことは無理があります。

2)災害食品を1週間食べ続けられますか?

●試食をすればわかると思います。

備蓄は1週間分以上の用意をすすめていますが、災害食品だけを3食1週間食べ続けることは無理があります。いくら好みのカップラーメンで毎日3食1週間食べ続けるのは困難なように、アルファ米も同じです。私自身、1日に2食が限界です。パンも食べたくなります。スープもパスタも煮物も食べたくなります。フライパンや鍋で作ったモノが食べたくなります。つまり、食べきれない災害食品だけを1週間分用意する必要はないのです。

 

●日常の食品でも、缶詰やレトルト食品は1~2年の賞味期限があります。半年の賞味期限でも備えには十分な期間ですね。これらを日頃から上手に回転させることで、災害時の貴重な食品備蓄にすることが出来ます。負担も少なく、好きな食品も選びやすく、今すぐ始められる方法です。

食品備蓄は、災害用の食品だけではありません。日常の食品も合わせて1週間分の食品を備えてください。どうしても災害食品が苦手な方はそれに変わる食品を用意すれば良いことです。

 

●レトルト食品が苦手なご家庭もあります。

もちろん好みもありますが、災害時は生鮮食品(とくに野菜)の購入が困難になりますので、食材が入っているレトルト食品は貴重になります。災害食品と同じように試食をして食べ慣れておくことをおすすめします。

3)冷凍保存もおすすめ

●年齢の高い人ほど、食べ慣れない食事や冷たい食品は喉を通しません。

温め、沸かす、調理が出来るように必ずカセットコンロを用意してください。

 

●「ひじきの煮物」「きんぴらごぼう(レンコン)」「マカロニサラダ」など、解凍だけですぐに食べられる総菜を作り置きして冷凍保存する。根菜調理は半茹でして冷凍保存する。など日頃の食事にもおすすめです。ただし、停電の場合は冷蔵庫も止まります。この場合は冷蔵庫の食品から食べるようにしてください。

もし災害が起きた場合、「自治会の炊き出しを頼る」「家にあるもので過ごす」「じっとする」など、実際の状況を知らない方が多いことに危険を感じています。正直、私自身もそうでした。

 

それは「どうにかなっているかのような状況」が放送されることも一つの要因ではないかと思います。しかし、表には伝えられていないことがたくさんあります。現実はどうにかなるほど甘くありません。

私たちは生きようとします。だから、食べたいと思います。しかし、物資は全員の分はありません。なければ辛いのは私たちです。自宅避難が出来るとしたら、それはとても幸いなことなのです。自宅避難の方が自宅にあるもので過ごす。そうすれば、行き場を失った方に物資が届きやすくなります。それはお互い様だと思います。

 

生きるために、家族を守るために、各自での準備は必須であることを知っていただきたいと切に願っております。

 

代表 長柴美恵

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